Hello,僕の初恋
「へえ、可愛い。コーヒーに入れるならかぁ。……じゃあ、私はmilkにしようかな」
単純すぎるかな、と思ったけど、ノゾムくんが「いいじゃん」と言うので、私はそれをペンネームに決定した。
ノゾムくんの長い睫毛が揺れて、まぶたが緩かに下がる。
「それじゃ俺らみんなでカフェオレになっちゃうね」
ノゾムくんがそんなことを言うので、みんなで笑った。
クリスマスライブの行われる二十五日まで、あと二週間。
街はすっかり冬色になったけど、やっぱり私の心はあったかい。
ぽかぽかする、というよりも、熱を帯びているみたいだ。
窓の外を見ると、さっきまでの雨が雪に変わっているのが分かった。
細やかな雪が、窓ガラスに叩きつけられて景色を白く染める。
次第に夜景へと変わっていく坂の街の風景と、イルミネーション、街路樹、ささやかな雪。
絵画に描いたように綺麗な景色だったけど、ノゾムくんの前ではやっぱりただの背景でしかなかった。