Hello,僕の初恋
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教室のある南向きの校舎も、師走となれば寒い風が吹き込んでくる。
普段授業を受けている教室には暖房が設置されているものの、決して効きが良いと言えるものじゃない。
それは一番日が高い時間帯になっても同じで、生徒たちは「寒い寒い」と口をそろえてこぼしていた。
「じゃーん、これ、アイトくんから直接買ったんだ」
お昼休みの寒い教室、いつものメンバーで冷えたお弁当を食べていると、アヤが満面の笑みでそう言った。
手に握られているのは、『市内バンド集結!クリスマスライブ』と書かれた小さな紙きれだ。
先日の打ち合わせの時に、私も彼らから同じものを受け取った。
「クリスマスライブのチケットじゃん! いいなぁ~。私はさすがに、アツキ先輩から直接買う勇気はないかなぁ」
美羽が目をぱちくりさせながらそう言う。
自信のなさそうな美羽の言葉を聞いて、アヤが続けた。
「直接買えばいいじゃん。ねぇ、ノン。アツキ先輩と山田ミカ先輩って付き合ってんの?」
『怖い』と恐れられていたミカ先輩とすっかり親しくなっていた私は、少し考えて答える。
彼女は予想以上に良い人だった。
ノゾムくんを含め幼なじみ三人は本当に仲が良くって、けれども二人が付き合っている様子は少しも感じない、というのが実態だと思う。