Hello,僕の初恋
「ねぇ、あの子」
購買の前に差し掛かったところで、女の子たちの声がきこえた。
体育倉庫での出来事を思い出して、ぎゅうっと胸が痛くなる。
まただ。いつもそう。
私が何かをする度にイヤな意味で目立ってしまって、誰かに噂話をされてしまう。
もう慣れっこなはずなのに、涙は目の縁ギリギリのところで止まっていた。
「天然ノンちゃんだ。ね、また何かしたのかな?」
「先生も大変よねぇ」
どうして私はこうなんだろう。
どうして直ちゃんみたいにしっかり出来ないんだろう。
どうすれば直ちゃんみたいになれるんだろう。
直ちゃんみたいになりたい。
小さい頃から、毎日そう思っているのに、ちっとも理想の姿には近づけそうもない。
渡り廊下から、窓の向こうを見る。
強い風に吹かれて枯葉が舞って、ぐるぐる回ると地面に着地した。
今日の景色は、ぜんぜん綺麗じゃない。
私はやっぱり今日も、自分に自信が持てないままなんだ。