Hello,僕の初恋



解散、という言葉を聞いて、どきりと胸が跳ねる。



四月になったら、アツキ先輩は東京の大学に進学するらしい。

ミカ先輩は来年の九月からロンドンの大学に進むことが決まっているらしく、

五月にはひと足先に渡英して、語学学校に行く予定だと言っていた。



そうなってしまったら、ブラックコーヒーはどうなってしまうんだろう。



「アイシャドウ、こっちの色の方が似合うかなぁ」



お姉ちゃんはそう言って、目の前に並べたパレットを見比べている。

窓の外はまだ雪がちらついていた。

化粧筆が、私の肌をゆるく撫でていく。



化粧を施されている間、この気持ちの答え合わせについてと、ブラックコーヒーの今後のこと、

それから、自分が歌詞を担当して良かったのかなってことをぐるぐると考えていた。



やっぱりまだ、私は自分に自信がない。

直ちゃんみたいになれる気はちっともしないし、そんな日は永久に訪れないような気さえしてくる。

 

お姉ちゃんが教えてくれたお化粧の基礎知識は、全然頭に入ってこなかった。
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