Hello,僕の初恋






海沿いにある市民ホール前には、ちらほらと人が集まり始めていた。



隣にある海浜公園の方から、冷たい海風がびゅうっと吹き抜けてくる。

ホッカイロ貼ってくれば良かったかなあと、私は寒さに震えて泣きそうになった。

ホール前に設置されているシンプルな時計は、午後三時ちょうどを指している。



「ノンー! 来た来た!」



時計の下で、いつもより少し女の子らしく着飾ったアヤが手を振っているのが見える。

美羽は、私と一緒に選んだチェック柄のワンピースを着ていた。

二人の元に駆け寄るとき、身体が少しずつ温まってくるのが分かった。



「お待たせ! 直ちゃんは?」

「関係者用に、前の二列開けてくれてるんだって。私たちもそこ入っていいみたいよ。直子が先に入って席取ってくれてる」



私が問いかけると、美羽がにこにこしながらそう言った。



クリスマスライブが行われる市民ホールは、成人式なんかが行われる市の建物だ。

ライブハウスと違って椅子が並んでいるので、今日は押しつぶされる心配もなさそうだ。
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