Hello,僕の初恋
ミカ先輩に「ほら」と促されて、私たちは手を繋いでステージへと登った。
脇にある階段を駆け上がるとき、ノゾムくんと目が合った。
話しかける暇なんてなかった。
アツキ先輩から、ステージの中央に招かれたからだ。
「こっちは『WISH』の歌詞の英訳と、キーボードのサポートをしてくれてるsugarさんことミカ。ありがとう!」
アツキ先輩は観客席に向かうと、ヴォーカルの左隣に立ったミカ先輩の右手を、ぐぐっと持ち上げて言った。
「本名言ってんじゃん」とミカ先輩が笑うのが見える。
アツキ先輩が、今度は私の左手を握って持ち上げた。
「こちらが、新曲の歌詞を担当してくれたmilkさんことノンちゃん。ありがとう!」
ミカ先輩がお辞儀をしたので、私も真似してお辞儀する。
観客席にいる人たちは、みんな豆粒のように見えた。ライトが眩しい。
また泣いちゃいそうになったけど、思いっきり笑った。