Hello,僕の初恋

外に出ると雪はもうやんでいて、それでもまだ冷たさの強い空気が宙を漂っていた。

はあ、と息を零すだけで辺りが途端にまっ白になる。

空は真っ暗で、星もみえない。

けれども市民ホールのクリスマスツリーが点灯しているおかげで、まるで星空を眺めているみたいだった。





「楽しかったねえ」



私がそう言うと、美羽も「うん」と笑った。



びゅうっと海風が吹く。

やっぱりホッカイロ貼ってくれば良かったなあ、なんて思った。



隣の海浜公園のイルミネーションが、ちかちかと光って揺れる。



ノゾムくんとふたりでイルミネーション見たいなって欲望が湧いてきて、

私はなんて贅沢になってしまったんだろう、とひとりで内心反省していた。



また、海風がびゅうっと駆け抜ける。





「花音ちゃん!」




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