Hello,僕の初恋
海浜公園から自宅までを、どこをどう走って帰ったのかは覚えていない。
夜の海、イルミネーション、車のごった返した国道、駅、ノゾムくんたちと騒いだスタジオ前。
全ての景色が一瞬で通り過ぎていった。
ドジで、臆病で、泣き虫。
だいじな時はいつも逃げ出してしまう自分。
やっと、自分の気持ちが分かったのに。
心に事実が追いついていかない。
どうして逃げ出してしまったんだろう。
理由はきっと、自信のなさが原因。
嬉しい。
舞い上がるほどに嬉しい。
嬉しい気持ちと、先への恐怖心がひとかたまりになって、どうしようもない。
だって今日、ステージに立っていたきみは輝いていた。眩しすぎるくらいに輝いていた。
だから、自信がない。
自信がほしい。
直ちゃんみたいになれたらきっと、胸を張って彼の隣に立てるのに。
『ノン、今から会える?』
直ちゃんからのラインに気づくのと、彼女がうちに来たのはほぼ同時だった。