Hello,僕の初恋



「じゃあ、ちゃんと好きって伝えなきゃ。好き同士なら、ちゃんと言葉にしないと」



直ちゃんが言う。

彼女の言葉はいつもしっかりと芯があって真っ直ぐで、自分らしく立っている、という感じだ。

直子という名前もぴったり。直ちゃんの言葉はいつもスッと耳に入ってくる。



「直ちゃんみたいになりたいなあ……。私ってドジで、泣き虫で臆病で。直ちゃんみたいだったら、今すぐ告白するのに」


「自信持っていいよ。ノンにはノンの魅力があるんだからさ」


「今日のステージ見たら、ちょっと近づけたかなって思ったけどさ。

私には無理だよ。自信がないもん。

ファンの子だっていっぱいいるのに、私は気の利いたことひとつ出来ない。直ちゃんみたいだったら……」



ずっと心に留めていたことが、どんどん溢れてきて止まらない。



直ちゃんみたいになりたいと、ずっと思ってきた。

ドジで泣き虫で、いつも自信がない私。



私が彼女だったら、どれだけいいことだろう。

どれだけ自信を持って前を向けるだろう。



「……いい加減にして……!」


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