Hello,僕の初恋
「ノン、リボン曲がってるよ」
文芸部誌を数え終えた直ちゃんが、私の制服のリボンを持ってきゅっと正した。
そしてカバンからクシを取り出し、ゆっくりと私の髪を梳かしてくれる。
「オイルつけていい?」
「うん」
「結ぶ?」
「うーん、うん。後ろでくるりんぱって、してほしいな」
「オッケー」
直ちゃんの柔らかい指が、器用に私のくせっ毛をまとめあげる。
直ちゃんと違ってくねくね曲がってて、染めてもないのに少し茶色い髪。
おじいちゃんに似た髪質だから、これだけはわりとお気に入りなんだけれど。
でもやっぱり、直ちゃんみたいなサラサラストレートの黒髪に憧れちゃうのは事実だ。
「ノンの髪は崩れやすいから、最後にスプレーで固めるね」
「はぁーい」