Hello,僕の初恋

普段はバレーボール部に所属している直ちゃんだが、水曜日限定で我が文芸部に助っ人にきている。

去年の三年生が卒業した時に、部員が規定の五人を下回ってしまったからだ。

もちろん、この文化祭で発行した部誌にも『文武両道』というテーマのエッセイを寄稿してくれた。大したものだ。

私の方は、何の変哲もない詩を三篇書いただけなんだけど。



「部誌って、ここにあるのが余り?」

「うん。朝校門のところで配って、あと二十部くらいは配布所に置いてる」

「じゃ、ライブの前に体育館前で配ろっか。午前中はお笑いライブとかしてて、人の出入り多いと思うし」

「さすが直ちゃん! アヤたちも手伝ってくれるかな~?」

「お昼奢ればしてくれるかもね」



朝から気合を入れてメイクをしていたアヤを思い出し、私たちはふふっと笑った。

美羽も美羽で、アツキ先輩の真ん前の位置陣取る! なんて張り切っていたし。



私は私で朝一番に、段ボール迷路の入口の装飾をぶっ壊してしまったんだけど。

男子たちが急ピッチで直してくれた。



「ノンの詩、どれも良かったよ。梅田先生も褒めてたし。特に最後の、好きだな」

「うへへ、ありがと。褒められ慣れてないから、照れるなあ」

「ノンの詩はすごいよ! 自信持って」



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 茜さす霜月の午後 校舎の壁が、やわらかなピンク色に染まる

 色づいたのは木の葉か 白壁か それとも私の頬か



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