Hello,僕の初恋
「直ちゃん、来てくれてありがとう。昨日は……、ごめんね。
私に何か話したいことがあったんでしょう? それなのに私、自分のことばっかで……」
直ちゃんが地面の方を見つめて、土を蹴る。ブランコがほんの少しだけ揺れた。
「……ショウと、ケンカしたんだ」
「うん。ミカ先輩に聞いた。大変だったね」
いつも私の話を聞いてくれる直ちゃん。
それなのに、私は彼女の悩みをほとんど聞いたことがない。
だから、今日はいっぱい話を聞いてあげたいと思った。
私が黙ると、直ちゃんは話をはじめた。
小さく、ぽつりぽつりと直ちゃんの声が降ってくる。
「……私どうしても教師になりたくてさ。地元の教育大受けるつもりなの」
初めて聞いた彼女の夢に、少し驚く。
そういえば小学校の卒業文集に『教師になりたい』って書いていたっけ。
私なんか『将来の夢は世界一周』とか書いた気がするのに。
直ちゃんはやっぱり凄いなあって、心の底から思った。