Hello,僕の初恋
部誌をぺらりと捲って、私はまた「うへへ」と笑った。
優等生の直ちゃんに褒められるなんて、なんだかくすぐったい気持ちになる。
「なんだか、恋してるみたいな詩」
「そう? 私、恋とかよく分からないから、想像で書いてみたんだけど。
テーマ、『青春』だったし。本当の恋でも知れば、もっと上手く書けるんだろうけどなぁ」
「ノンにもそのうち現れるかもよ~? 素敵な彼が」
「現れる気がしないよぉ~、直子先輩!」
直ちゃんは私の髪を結び終えると、もう一度制服のリボンをチェックして、ブレザーの裾を正してくれた。
私がやるとどうも曲がっているらしく(自分では分からないんだけれど)、いつも直ちゃんが正してくれる。
だから時々、男子に『直子はノンのお世話係』なんてからかわれるのだ。
私だってもうちょっと、ちゃんとしたいと思っている。
でもどう頑張ってもその『ちゃんと』が分からない。
だから常にこの問題は私を悩ませた。
今日も私は自分に自信がない。