Hello,僕の初恋
今きみは、真っ暗な世界の底にいるかもしれない。
けれど、私がそばにいるから。だから一緒に前を向こう。
そう願いながら、たどたどしいメロディーを奏でる。
これが今私に出来る、精一杯の励まし。
本当に下手くそだったけどあっという間に弾き終わって、気がついたらノゾムくんが拍手をしていた。
彼の幅広い二重まぶたのライン。
ゆるやかにカーブを描く瞳の端に、うっすらと涙が浮かんでいる。
「ノゾムくんなら大丈夫。何があっても大丈夫。私がそばにいるから。いつもあなたの味方でいるから。だから、悲しまないで」
私の目からも、自然と涙がこぼれ出ていた。
ぽろぽろと、雨のように私の頬を伝って降りていく。
私は鼻をすんと啜って続けた。
「卒業ライブには出られないかもしれないけど……。
ノゾムくんならまた弾けるようになるよ。きっと大丈夫。
私、歌詞もたくさん書いたの。ノゾムくんとまた、いっしょに曲を作れたらいいなって」