Hello,僕の初恋
「私はノゾムくんのことが好きだよ」
声だけじゃなくって、手も震える。
抱えたままのベースが、カタカタと揺れるほどに。
「文化祭で初めてノゾムくんの演奏を聴いた日から、好きだったんだと思う」
「……本当に?」
「うん。私ね、ノゾムくんが凄い人だと思ってて……、あ、今でも思ってはいるけど、あの頃は雲の上の存在だと思っててね。隣に並ぶのが怖かったんだ」
そう言うとノゾムくんは眉を下げて、不思議そうな顔をした。
冬の午後の陽射しが彼の茶色い髪に当たって、きらきらと光る。
「俺が? 雲の上の存在?」
「うん。でもね、違うって分かったの。凄い人だなぁとは今でも思うけど、前とは違う感じかな。今は、ノゾムくんの隣に立ちたいと思う」