Hello,僕の初恋
光の当たるステージで跳ねるきみを見た時、心が踊った。
きみの奏でる音も、茶色い髪も、
幅広い二重まぶたも、声も、真っ直ぐなところも、
優しいところも、夢を追いかける姿も。
ぜんぶ、好きで好きでどうしようもない。
最初から最後まで、声が震えていたと思う。
ぜんぶ話したところで、ノゾムくんの手が伸びてきて、「ありがとう」と手を握られた。
包帯に包まれた、ノゾムくんの右手。
少し触れただけで、彼の痛みが伝わってくる。
でも、温かかい。
ああ、彼が生きてて良かったなと思うと、じわりと涙が込み上げてくる。
「生きててくれてありがとう」
私がそう言うと、ノゾムくんが満面の笑みを見せて。
「花音ちゃん、そばにいてくれてありがとう」
そう言って、私の両手をしっかりと握りしめた。
一月の空は高く青く澄んでいて、私たちを祝福してくれる。
雲の向こうでおじいちゃんが笑った気がした。
三月になったらアツキ先輩は東京へと旅立つ。
でも、きっと彼らなら大丈夫。
ノゾムくんなら大丈夫だ。