Hello,僕の初恋
「花音ちゃんさ、ノゾムの代役のベース、練習すれば出来るんじゃない?」
ミカ先輩が、私の持つベースを覗きながら言う。
あの下手くそなスタンドバイミーを聴いて、そう思ったのだろう。
私はううん、とかぶりを振った。
「私はいいんです。私は大勢のためにベースは弾けない。その代わりに得意な歌詞を書きます」
「そう? いい線いけると思ったんだけどなぁ」
ミカ先輩が残念そうな顔でそう言って、ノゾムくんに「代役どーするの?」と問いかけていた。
秀才でキーボードもギターも弾けて、ブラックコーヒーのサポートメンバーでもあるミカ先輩。
私はぱっとひらめいて、新しい提案を彼女に持ちかけた。
「ノゾムくんの代役は、ミカ先輩がいいと思います。先輩ならブラックコーヒーの音のこと、よく分かってるし」