Hello,僕の初恋
「皆さん、今日は俺たちの卒業ライブに来て下さってありがとうございます! スタートをつとめさせていただいたブラックコーヒーです」
ドラムの音をBGMに、アツキ先輩の挨拶が響く。
「アツキ―!」とどこかから歓声が沸いて、会場はますます熱気に包まれた。
「最初に披露したのは、新曲の『スタンドバイミー』という曲です。あの有名な同名の曲が、この曲のヒントになったそうです」
アツキ先輩が、私とノゾムくんの方を見る。
一瞬目が合ったように感じたけれど、たぶん彼はノゾムくんを見ているんだな、と思った。
「歌詞を書いてくれたのは前回と同じmilkちゃん。そして、曲を作ってくれたのはベースのノゾムです。
彼は今大きな怪我をしていて、演奏はsugarちゃんことミカにお願いしました」
ミカ先輩がヴォンとベースを鳴らし、お辞儀をする。
アツキ先輩は真っ直ぐこっちを見つめたまま、続けた。