Hello,僕の初恋
「ノゾムがいてこそのブラックコーヒーです。
メンバーの他にもサポート、作詞、照明、音響、設営。いろんな人が僕らを支えてくれています。
本当にありがとう」
アツキ先輩の後ろで、ドラムのスティックがひたすら揺れる。
次の曲に続けるように、ギターとベースが音を鳴らし始めた。
「ノゾム、見ていてくれてありがとう! 聞いて下さい、『Hello,僕の初恋』!」
アツキ先輩がそう叫んで、曲が始まる。
照明は恋をあらわすピンクと、ノゾムくんのベースと同じ緑色。
それが交差して、鮮やかにステージを照らす。
ギターが走り、ベースが弾けて、ドラムが躍る。
前にこの曲を聞いた時は、ノゾムくんはステージの上だった。
今きみは、私の隣に立ってステージを見上げている。
胸の奥が熱くなって、泣いてしまいそうだ。
アツキ先輩が、マイクに音を乗せる。