Hello,僕の初恋
『Hello,僕の初恋』、『群青、僕ら』と続いて、ブラックコーヒーの面々がお辞儀をする。
照明が消えて、彼らが奥へと引いていくのが分かった。
ステージでは次のバンドの準備が進められている。
ノゾムくんは力が抜けたように腰を下ろし、体重に任せるまま椅子に座った。
「花音ちゃん」
ノゾムくんが目に左腕を当てて、拭うような仕草をする。
表情はみえない。
右手はしっかりと繋がれたままだ。
「そばにいてくれて、ありがとう」
次のバンドが始まるまでの間、私たちは声をあげて泣いた。
周りの視線が痛かったけど、気にせずおんおんと泣いた。
終演のころには、ふたりともすっかり水分が抜けて目が真っ赤になっていて。
それがおかしくって、ふたり笑った。