Hello,僕の初恋
文化祭の終了と同時に校門を飛び出した私たちは、あらかじめ呼び出しておいたうちのお姉ちゃんの車に駆け寄った。
ピンク色の軽自動車のドアを開いて、私が助手席に、三人が後部座席に乗り込む。
定員オーバーなのは気にしないことにするしかない。
直ちゃんはいつものようにハキハキと「よろしくおねがいします」と頭を下げ、あとの二人は小さくそれを真似した。
「お姉ちゃん、ありがと! 急ピッチでアヤのおうち、美羽のおうち、直ちゃんのおうちの順で回って下さい!」
「高くつくわよ~?」
お姉ちゃんがそう言うと、アヤが「いくらですか!?」と目を丸くするもんだから、お姉ちゃんは大笑いしながら「百億円」と言った。
「てかノンのお姉ちゃん、面白いですね! 全然似てないや」
アヤが言う。
「てかめっちゃ美人じゃない? メイク教えて下さいよ~」
続けて美羽が、姉を褒め称えた。
美人、のあとに似てると言わない辺りがさりげなく弄られている気がする。