Hello,僕の初恋
ねえ、花音ちゃん。詩を書いてよ
夕陽が沈み、街が夜をむかえた頃。
観光名所となるほどの夜景を作り出す街の、そのネオンのひとつ、『カラオケ』と光る看板の下を私はくぐっていた。
「ライブの打ち上げ組~! こっちこっち~!」
二組目のバンドのヴォーカルをしていた三年生(たぶんそうだと思う)が、手を上げてそう叫んだ。
フロントのそばに集合して、前を歩いている人たちについて部屋まで進む。
一階の奥の突き当りにあるパーティールームに通されて、私たちは各々好きな場所に座った。
『ブラックコーヒー』のメンバーは部屋の中央にいて、アヤと美羽は出来る限りそのそばに座ろうと駆けだしていった。
私もついていこうと思った矢先、知らない人が突進してきて行く手を阻まれてしまった。
体育館、デジャブ。
知らない間に直ちゃんはショウくんの隣に座っていて、美羽とアヤもその近くにいて。
けれどもその周辺の椅子は空いていなかったので、私は仕方がなくひとりで入口のそばに腰を下ろした。
なんだか、場違いな場所に来てしまったな、と思ってしまう。
たぶん、周りに座っているのは一年生のコピーバンドの男の子たちで、
何やら内輪で盛り上がりはじめているようだった。