Hello,僕の初恋
「え~? ノンちゃん、また怪我したの?」
「何? 何? 何かあったの?」
「天然ノンちゃんが、指切ったんだって~!」
予想通りクラスメイトがぞろぞろと集まってきて、私の周りを取り囲んだ。
男子も女子も、みんなが笑いながらじろじろと見物している。
なんだかイヤだな、と思った。
けれども私は、絶対にそんな気分を表情に出さない。
だって私は、『天然ノンちゃん』だから。
変な意味で有名人なのに、平花音という本名さえクラスメイトに周知されていない。
私はいつものようににへらと笑うと、「えへへ、またやっちゃった」と言った。
どっ、と笑いが起こる。