Hello,僕の初恋
そういえば、ショウくん以外は彼女いないって言っていたな。
そう思い出し、部屋の中央、今日緑色のベースを掻き鳴らしていた彼へと視線を移す。
彼――、曽根崎望くんは、少し茶色い髪を揺らしながら、アツキ先輩に向かって笑いかけていた。
「ジュースきたよー!」
誰かがそう叫び、私の手元にメロンソーダが回ってくる。
ノゾムくんの方を見ると、彼もメロンソーダを頼んでいた。
しゅわしゅわと揺れる炭酸の向こうで、彼が目を細めて笑っている。
グラスの中身は、彼が弾いていたベースと同じ色だ。
そしてこの時、メロンソーダを頼んだのが私と彼だけだと知って、なんだか胸の奥が熱くなった。
なんでそうなったのかは、分からないけれど。
思い出す、今日のステージ。
揺れるビート。熱気と高揚感。
少し思い出すだけで、胸の奥が震えてはじけ飛びそうになる。
それはきっと今日のステージがとても素敵だったから。
だからきっと私は、少し興奮してるんだ。
その気持ちを押し込めるように、メロンソーダをごくごくと飲み込んだ。
喉の奥は、焼けるようにぴりぴりと弾けていた。