Hello,僕の初恋
「あ、軽々しく花音ちゃんなんて、ごめんね」
「えっと……、私のこと、知ってるの?」
「うん。ノンちゃん、でしょ? 俺さ、昔ノンってあだ名だったんだよ。だから、俺は花音ちゃんって呼んでもいい?」
「うん」
喉の奥がひゅうっと音を立てた。
うん、とひとつ口にするだけで、からからに乾いてしまいそうだった。
身体の芯の方が熱い。
花音ちゃんなんて名前で呼んでくれる人に出会ったのは、生まれて初めてだ。
「俺のこと、知ってる?」
「ベースの……、ソネザキノゾムくん」
「よかった」
私がノゾムくんの目を見ると、彼はほっとした様子で笑った。
どうして私なんて追いかけてきたんだろう。
まずは、もう帰るつもりだということを伝えなければならない。
でもどうしてだか、この人ともっと話がしたいと思った。