Hello,僕の初恋
「ごめん、喋り過ぎだね。気にしないで」
「ううん。もっと聞かせて」
「変だとか、思わない?」
「思わないよ。花音ちゃんみたいな考えの方が、きっとずっといいよ」
そんなことを言われたのは初めてだった。
だってみんないつも、ノンはぼーっとしてるだとか、
わけが分からない空想をしてるとか言って、からかってくるから。
景色がどうだと言っただけで、『天然発言』として認定されてしまう。
でもこの人はそうは言わない。
私にとっては当たり前のとらえ方を認められたようで、なんだか嬉しかった。
私たちは坂道を下る。
夜の色はどんどん濃くなるのに、街は眠らない。
ますます輝きを増して、私たちを宝石箱の中にとじこめた。
遠くに見える信号機の『進め』の色は、ノゾムくんのベースと同じ緑色だ。