Hello,僕の初恋
「ノン、本当天然~」
「ノンはそういうとこが可愛いんだから、放っておけないよね」
クラスメイトのアヤと美羽が、そう言って私の頭を撫でた。
ぼさぼさのくせっ毛が、二人の細い指に絡まる。
アヤの爪は艶やかに磨かれていて、美羽の袖からはアロマオイルみたいな香りがした。
私はまた「あはは」と笑って、怪我をした指を押さえる。
じくり、じくり。
傷の奥が疼いている。
窓の向こうに見えるイチョウの木は、さっきよりずっと寂しそうに見えた。
ドジで泣き虫、おまけに怖がりな自分のことが、私はあんまり好きじゃない。
友達はそんなところが長所だと褒めてくれるけど、本人にとっては到底そんな風には思えなかった。
だって私なんかみたいなのより、直ちゃんみたいなのの方が、きっとずっといいと思うから。
だから私はいつも、自分に自信が持てずにいる。