Hello,僕の初恋
「花音ちゃんってすごいね。こんな詩を三つも書けちゃうなんて」
「ノゾムくんの方がすごいよ! 私今日感動したんだぁ。
ライブの前に直ちゃんたちとはぐれちゃって、泣きそうな気持ちだったのに。
ライブがはじまったらドキドキして……、違う意味で泣きそうになったもん」
「本当? ありがとう」
息を吸ったら、冷たい空気がつーんと鼻をついた。
”僕たちは限られた時間の中で、何かを成し遂げるんだ”
今日のライブを思い出して、私の目にはじわりと涙が浮かび上がる。
世界中の綺麗を詰め込んだような夜景は、たちまち滲んでぼやけてしまった。
「ぐすっ」
「ええ!? 泣いてんの!?」
「ぐすっ。わたし、いつもこうなの。悲しい時だけじゃなくって、感動した時も、嬉しい時も、楽しい時も、すぐ泣いちゃう。今だってそう」