Hello,僕の初恋
ポケットからハンカチを取り出そうとして、ワンピースにポケットがないことに気がついた。
しょうがないので、すんすんと鼻をすする。
お姉ちゃんがマスカラというのを塗ってくれたから、目をこすったら取れてしまうかもしれない。
ノゾムくんの方をちらりと見ると、少し困ったような顔をして、こう聞いてきた。
「今のは、どんな気持ち?」
私はもう一度鼻をすすり、前を向く。
景色はまた、はっきりとした色彩の宝石箱に戻っていた。
「分からないけど……、いやじゃない方のやつ」
「はは、よかった」
「感動と、楽しいのと、なんかいろいろなの」