Hello,僕の初恋
ノゾムくんってきっと、天然タラシなんだと思う。
文化祭で初めて存在を知ったし、女の子との噂なんてないって聞くけど。
きっとこの優しさに泣かされた女の子が、ひとりやふたりはいるんじゃないだろうか。
だって、私は今こんなにも、胸の奥が熱くてどうしようもない。
「花音ちゃんはきっと、感受性が豊かなんだよ。だからすぐ泣いちゃうんだ」
「感受性かぁ……」
「どうする?」
そう問われて、気がついたら叫んでいた。
「私……、書きたい! やる! やります!」
近所迷惑になるかもしれない大声で、私は叫んだ。
白い猫が驚いた様子で、ニャーとひと鳴きして駆けていく。
夜空はくもり空で、月は見えない。
夜景はただの背景になって、ぼんやりと私の周りを回った。
この時私は、何かが変わるかもしれないという予感を抱いていた。