Hello,僕の初恋
「ノン、昨日はごめんね。私がショウと外で話してたから……。知らない人いっぱいいたし、イヤじゃなかった?」
「昨日? ああ! 打ち上げね。ううん。楽しかったよ」
直ちゃんが両手を合わせて謝ってきたので、私はふるふると首を横に振った。
人に謝られるのはあまり好きじゃない。
直ちゃんは私の横に並ぶと、歩きながらこちらを覗き込んだ。
「メッセージきてたけど、途中で帰っちゃったでしょ?」
「あー、うん……でもね……。ふふふ」
昨日のことを思い出すだけで顔が熱くなって、私はコートのボタンを外した。
山から下りてきた風が、服の隙間から吹き込んで私の身体をちょうどよく冷ます。
昨夜は気持ちが昂ってなかなか眠れなかった。
あの出来事をどう説明しようか迷っているうちに、私たちは階段の頂上へとたどり着いていた。
坂を上りきったところにある県道にまたがる横断歩道を、私たちは向こう側にある校舎を目指して渡る。
直ちゃんは不思議そうな顔をして、私の方を見ていた。