Hello,僕の初恋
ちょうど校門のところに着いた時、学校前へと停まったバスから、見慣れた巻き髪が見えた。
アヤだ。
「ちょっとノン! どうなってんの!?」
目をかっと見開いたアヤが、ずんずんと私たちの方へと近づいてくる。
その後ろからアヤのバッグを抱えた美羽が、小走りで追いかけてきた。
美羽のピンクのコートが揺れる。
「アヤ、美羽、おはよう」
「おはよぉ~」
直ちゃんに続いて、私もねぼけた朝の挨拶をする。
しかしアヤは挨拶をせず、私の両肩をがしりと掴んで、顔を近づけた。
昨日お姉ちゃんに塗ってもらったマスカラというものを、アヤもたっぷりつけているのだろう。
重そうな睫毛が弧を描いている。
ノゾムくんの綺麗な睫毛を思い出した。
「おはようじゃないよ! ノン、何がどうしてそうなったの?」
「へ?」
「ノゾムくんとふたりで消えたでしょ!?」