Hello,僕の初恋







「それで、ブラックコーヒーの歌詞を頼まれたってわけ?」



お弁当の卵焼きをつまみ上げながら、直ちゃんはそう言った。



直ちゃんのお弁当はいつもおいしそうだ。

私は購買で買ってきたハムカツサンドをひと口齧って、ジュースで流し込むと、こくりと頷いた。



「うん。自信ないけど、すごくドキドキしたんだぁ。気づいたらやるって言っちゃってた」



私の手元からぽろりとこぼれたサンドイッチのかけらを、直ちゃんがティッシュで拾って包みこむ。

直ちゃんの隣に座っているアヤが、コンビニで買ってきたらしいパスタをぐるぐる巻きながら、ニヤニヤと笑った。



「はー、あのノンが恋に目覚めたかぁ。ノゾムくんって可愛い系が好きなのか。意外と押せ押せだし」

「そんなんじゃないってばぁ」



アヤがからかうので、私の身体はまたかあっと熱くなった。



昨日からずっと熱い気がする。

もしかすると、この冬はすごく暖冬なんじゃないかと思った。
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