Hello,僕の初恋
「でもよかったじゃん。ノンの詩、すごくいいもん」
直ちゃんはいつも私を褒めてくれる。
私を褒めてくれるのなんて、直ちゃんと、文芸部の梅田先生と、ノゾムくんくらいかもしれない。
私はそれを嬉しく思いつつ、昨日の夜の疑問を直ちゃんにぶつけた。
「ありがとう。それで直ちゃんは、昨日ショウくんと何話してたの?」
「それーっ! なんか怪しいよね~! ふたりっきりで抜け出したのは、直子の方じゃん」
私の言葉に乗っかって、美羽がきゃあきゃあと騒ぐ。
直ちゃんがからかわれるのは珍しいので、面白くなって私もいっしょになってきゃあきゃあ騒いだ。
「だから何でもないってば」
「でもチュウくらいはしたでしょ?」
真っ赤になった直ちゃんに向けて、アヤがとどめの一発をさす。
すると直ちゃんは箸をとめて、ますます顔を赤くして、こくりと頷いた。
きゃー! と三人で叫ぶ。
「はー、ショウのやつ、やりおるわ」
「ついに直子の唇をゲットしたのねー! ひゃー!」
「きゃー! きゃー! 直ちゃんおめでとうー!」
直ちゃんは勘弁してほしいといった様子で顔を覆い、それからぺたぺたと頬を叩いていた。
キスってどんな感じなんだろう。
男の子と一緒に坂道を歩くだけでもドキドキしたのに、そんなことをしたら口から心臓が飛び出るんじゃないかと本気で思った。