Hello,僕の初恋
どうしてだかまたドキドキしてしまって、私は各メンバーの顔をひとりずつ確認ながら、緊張を取り払おうと努めた。
この流れときたら、次は私が自己紹介をしなければならないのだろう。
大きく息を吸って、吐き出すのと同時に声を張り上げる。
「たっ、平花音です! 文芸部です。よろしく……お願いします!」
机に手をついてダンっと立ち上がる。
その反動で私の前に置かれたカップが揺れて、コトンと傾いた。
蓋をしてあるものの、紙カップの側面から温かいコーヒーが少しずつこぼれてくる。
「キャー! コーヒー零れちゃった!」
「うはは、ノンちゃん本当変わってねえ」
私が慌ててティッシュを取り出していると、斜め前でアイトくんが爆笑していた。
アツキ先輩もノゾムくんも笑っている。
少しだけ泣きそうになったけど、私は急いでそれを拭き取って「えへへ」と笑った。