Hello,僕の初恋
「それで、ここにあるのが音源ね。キーボードで音入れてるとこがヴォーカルの音になる予定だから、聞けば分かると思う。これに合わせて書いてみてほしいんだ」
三十分ほど話したところで、ノゾムくんがそう言って何かを取り出した。
CDだ。
表面には、『新曲 タイトル未定』とマジックで書かれている。
ノゾムくんはそれを私の方へと突き出すと、「よろしく」と言った。
「タイトルも私が決めていいの?」
「もちろん。歌詞のイメージに合わせた方がいいし。あっ、でも曲のイメージみたいなのはあるかな」
ノゾムくんは人差し指を頭に当てて、何かを考えているようだった。
音を思い出してるんだと思う。
そしてにこりと笑って、イメージを口にした。
「ノリのいい、元気になれるような歌なんだ。前向きなイメージかな。
あー、でも最近、ラブソング歌ってって言われるんだけど……、俺たちそういうの疎くって。
全然イメージ沸かないの」
ノゾムくんがそう言うと、アツキ先輩が「彼女持ちのショウちゃんどーですか?」と、ショウくんをからかった。
「知らん」
ショウくんが照れた様子でそっぽを向く。
これは直ちゃんに報告だと、私は内心ニヤニヤしていた。