乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
「わ、私はいいんです!とりあえず、実家に行って下さい」

「新崎と敵対するつもりですか?」

「いえ。匿ってもらおうかと。とりあえず、詩理さんがどこにいるかわからなければ、結婚もできませんから」

「確かにまあ」

「さすが月子だな。単純な話だけど悪くない。時間稼ぎにはなるか」

「はい」

格式はなくても、うちにはお金があるのだ。
使ってないマンションや別荘の一つや二つある。
だから、人一人くらい隠せるはず。
そう私は考えた。

「月子さんにしたら、すごい行動力でしたね」

遠堂さんから褒められた私は得意気にうなずいた。

「はい。主人公(ヒロイン)補正が入るとなんでもできるような気がするので」

「は?」

遠堂さんはわけがわからないという顔をしていたけど、天清さんは私を振り返って微笑んだ。

「ありがとう。月子」

勇気をだしてよかった。
その言葉と笑顔だけで私は大満足だった。
けれど、人生最大の行動力を発揮した私はくらりと貧血が起きて倒れてしまった。

「お、お姉様!?」

「月子!!」

目の前が暗くなるのがわかった。
でも、悪い気分じゃない。
むしろ、気分は高揚していた。
やりきりました―――私は。
その達成感はマラソンを完走した後の気分に似ていた。

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