乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します！

なるべく、集中力をかき乱したくないと思って私も余計なことは話さず、静かな口調で相槌だけ打つ。
きっと難しいことを考えているに違いない。
時差があるからと言って、また天清さんは仕事をしていた。
何をしているのか、わからなかったけど、眠るのも悪い気がして、そばで『ときラブ』をプレイしていると天清さんが時々、私の方を見て微笑んでいた。
そばにいるだけで私は嬉しいと思っていると、きっとそれは私だけじゃない。

「仕事はもうやめておこうかな」

天清さんがパソコンの電源をオフにした。

「えっ！？じゃ、邪魔でしたか！？」

「違う。月子がせっかくそばにいるのに触れないから」

「そ、そ、そ、そんな」

理由でっ！と言いかけると天清さんの手が伸びてきて、私の体を抱きしめた。
セーブしていないことも忘れて、天清さんの背中に手を回して同じように抱きしめると、天清さんは笑った。

「月子。今日はありがとう。本当は父親に会わせたくなかった。あんな父親でがっかりしただろ？」

もしかして、天清さんは不安だったのかな？
私が天清さんのお父様を見て、幻滅すると思って？