乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
「は!?な、なぜ、そんなことに!?」

ふらふらと顔を青くして、父は壁に手をついた。
だ、だよねぇ……。
私も同感だけど、それしか思い当たらない。

「姉の夫に手を出すなど、言語道断!!その上、好きだと言って結婚した公康(きみやす)君と離婚だと!?あの娘は二度と『楠野屋』には戻さん!家の敷居も股がせんぞ!」

父は青かった顔を赤くして、地下室から出て行った。
公康さんと離婚するなんて、響子は本気で天清さんと結婚するつもりなの―――?
ただの嫌がらせじゃなかった。
本気なんだ……。
天清さんを奪われるかもしれない?
ぐっと拳を握りしめた。
そんなことない。
天清さんは私が妻でよかったと言ってくれたんだから。
前とは違う。
私は―――!
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