乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
「そんな余裕で大丈夫ですか?新崎(あらさき)に行った響子(きょうこ)さんが月子さんと勝負したいと申し出たそうですよ」

「私と勝負!?」

「やはり、ご存知なかったようですね」

遠堂さんが溜息を吐いた。
会議から戻った天清さんも苦い表情をしていた。
まるで果たし状。
会議が長かったはずだ。

「その勝負に月子さんが響子さんに負けたら、潔く新崎に戻れと天清さんに要求してきました」

「わ、わ、私が響子に負けたら、天清さんが新崎に戻る!?」

そうなると、詩理さんも戻らざるをえない。
向こうにしたら、一挙両得。
なんて、賢い。

「俺は戻らないよ、月子」

「で、で、でも」

「負けるつもりはない」

「もちろんです。なぜ《《天清》》さんが負けると?」

遠堂さん、勝負を挑まれたのは私なんですが。

「勝負はフェア対決。新崎グループ子会社のファミレスチェーンと『楠野屋』のフェアを同時開催。売り上げが多かった方が勝利。簡単だと思うかもしれませんが。ファミレスチェーンの方が有利でしょうね」

「そうなんですか!?」
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