乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
第27話 傷
―――とうとう、いたしてしまった。
朝の光がカーテンの隙間から、射し込んでいる。
もう起きないといけないのに天清(たかきよ)さんの腕の中に抱き締められていて、下手に動けない。
二人で遅刻なんてしたら、いかにもじゃない!?
ど、ど、どうしたらいいのー!
神様、教えて!
と、経験乏しい私の頭にピコンと選択肢が浮かんだ。

→【遅刻なんて気にしないっ!】 
 【彼を優しく起こす】

乙女ゲームのエキスパートたる私も事後の選択肢はどちらが正解なのか、悩ましくて選べない。
そもそも優しく起こすって、どうすれば?
まさか、私からき、き、キス!?
そんなー!
レベルが高すぎるよー!神様ー!
ぶんぶんっと頭を横に振った。

「なに唸って……月子?……もう朝?」

「は、はい」

悩みすぎて唸っていたらしい。
二人が初めて結ばれた日の目覚めが唸り声って、どうなんだろうと複雑な気持ちになりながら、起きようとすると天清さんがふざけて腕をつかんで、笑いながらボフッと布団に引き戻した。

「な、なにするんですか。遅刻しますよ」

「遅刻しようか?二人で」
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