乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
わからなかったけど、頷いた。
「お兄様の体に傷があったでしょう。あれは他の人を庇ってついたものなんです」
「庇って?」
「私のもう一人の兄がいたでしょう?」
「家から追い出されてましたね」
「昔から父に叱られると、その腹いせに遠堂を殴ったり蹴ったりしていたんです。他の人達と」
「遠堂さんが!?」
あんな不遜な態度の遠堂さんが黙って殴られるなんて信じられない。
「遠堂は新崎で親が働いていて、逆らえなかったのでしょうね。殴り返せば、クビになると思って」
「そんな……」
「お兄様はそんな遠堂に気づいて、よく庇われてました」
だから、遠堂さんは天清さんに絶対の忠誠心を持っていたんだ。
「天清さんらしいです」
「私、天清お兄様には幸せになって欲しいんです」
「もちろんです!」
「月子お姉様。お父様が何を考えているかわかりませんが、天清お兄様を信じて下さい。お兄様はお父様に絶対に負けませんから」
「うっ……!は、はい。なんとか」
さすがにラスボス相手に『任せてください!』とは即答できなかった。
詩理さんが私にどうして、こんなことを言ったか、まだこの時はわからなかった。
けれど、何があっても私からは離れない。
そう心に決めていた―――
「お兄様の体に傷があったでしょう。あれは他の人を庇ってついたものなんです」
「庇って?」
「私のもう一人の兄がいたでしょう?」
「家から追い出されてましたね」
「昔から父に叱られると、その腹いせに遠堂を殴ったり蹴ったりしていたんです。他の人達と」
「遠堂さんが!?」
あんな不遜な態度の遠堂さんが黙って殴られるなんて信じられない。
「遠堂は新崎で親が働いていて、逆らえなかったのでしょうね。殴り返せば、クビになると思って」
「そんな……」
「お兄様はそんな遠堂に気づいて、よく庇われてました」
だから、遠堂さんは天清さんに絶対の忠誠心を持っていたんだ。
「天清さんらしいです」
「私、天清お兄様には幸せになって欲しいんです」
「もちろんです!」
「月子お姉様。お父様が何を考えているかわかりませんが、天清お兄様を信じて下さい。お兄様はお父様に絶対に負けませんから」
「うっ……!は、はい。なんとか」
さすがにラスボス相手に『任せてください!』とは即答できなかった。
詩理さんが私にどうして、こんなことを言ったか、まだこの時はわからなかった。
けれど、何があっても私からは離れない。
そう心に決めていた―――