乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
このフェアには響子(きょうこ)との対決だけでなく、今後『楠野屋』が洋食を取り入れるかどうかという試験的な試みも兼ねているのもあって、父も真剣だった。
隣の天清(たかきよ)さんは笑顔でアンケートを満足そうに眺めていた。

「うん―――概ね、予想通り!」

「天清さん。サラダバーの野菜が新鮮で美味しいって書いてあります」

「豆乳アイスがヘルシーでよかったって書いてあるよ、月子」

天清さんは悪い顔をした。

「上々だと思う」

そうは言っても『バニー』の売れ行きや評判もやっぱり気になる。
それは私だけでなく、他の社員達もそうで―――

「でも、『バニー』を偵察してきた社員の話だとかなり盛況だったとか」

「有名パティシエも来店しての派手な初日だったみたいですよ」

「ドリンク割引券も配っていて二度目の来店も狙っているようでした」

『楠野屋』のみんなは不安そうに天清さんに言ったけれど、天清さんは笑みを崩さず、軽い口調で答えた。

「気にしなくていい。『楠野屋』はいつも通りにいこう!」

にっと天清さんは不敵に笑う。
一欠片の不安も感じさせない。
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