乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
「フェアの期間は一ヶ月。こっちはメニュー全体の底上げをするために素材も変えた。なにより二度三度食べたいと思えるのはいつものご飯じゃないかな。しかも、向こうはデザートのみ。一番、売り上げが大きいのはメインの料理だよ」

「えっ!?『バニー』はデザートのみのフェアですか?」

「そうだよ」

天清さんは私の問いかけに頷いた。
響子はなぜデザートしかやらなかったのだろう。
勝つ自信があったから?
不思議に思っていると天清さんは私の背中を叩いた。

「頑張ったね、月子」

「いえ。天清さんも長い間、出張お疲れさまでした」

「俺はなれてるから、平気。新メニューを食べたけれど、美味しかったよ。きっとこれからの『楠野屋』の定番になるよ」

「うむ。確かに。和洋食でご飯にも合う味を意識してあって食べやすかった。今後もどんどん企画を出していきなさい」

父にまで褒められるなんて滅多にないことだった。
なにより、天清さんに褒められるのが嬉しかった。

「ありがとうございます」

フェアのスタートは『バニー』に負けているものの悪くない出だしをみせたのだった。
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