乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
そっとピンクのウサギのぬいぐるみを棚に戻した。
遠堂さんがこんな可愛らしいキャラを考えるなんて意外過ぎる。
人は見かけによらないものですね……。

「楠野様、二名ですね。こちらへ―――って、天清さん!」

「えっー!本当に天清さん!?」

「楠野って名前だったから、気づきませんでした!」

「お久しぶりですー!」

『バニー』のスタッフが集まりだし、天清さんを取り囲んだ。

「皆、元気そうでよかったよ」

天清さんが笑うと周りがなごやかになる。
それになんだか、天清さんは楠野にいる時と雰囲気が違う。
なんだか、知らない人みたいだった。
しかも、気のせいじゃなかったら女の人ばかりが周りに集まっていた。
もしかして、天清さんってモテる!?
新崎の御曹司だし、イケメンだし、明るくて人当たりもいいし、よくよく考えたらモテないわけがない……。

「新崎を辞めたって聞いたんですよ。でも、また戻ってくるって」

そんな声が聴こえて身を強張らせた。
戻る?
まだ勝敗は決まってないのに?

「戻らないよ。俺はもう楠野天清だからね。月子、こっちに」

呼ばれて、ドキッとして身を強張らせた。
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