乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
そして、『俺にはお前が必要なんだ』で、デレがくるはずなのに。
肝心の遠堂さんに詩理さんを追いかけるような素振りは一切ない。
どうしてあんな冷静にいられるんだろう。

「その怨念がこもったような目で、こっちを見ないでください」

考え事をしている内に遠堂さんを無意識に見てしまっていた。
迷惑そうな顔をされ、

「お、怨念!?違います!念がこもっただけです」

「こめてるじゃないですか」

「遠堂」

「申し訳ありません。少し出てきます」

天清さんに注意され、遠堂さんは席を立ち、部屋から出て行った。

「月子。俺がいるのに他の男を見てた?」

「理由、わかってるのにそんなこと言わないでください」

「うん―――俺は月子が悲しいのは嫌だな。詩理のことは心配しなくても大丈夫だよ」

「本当ですか?」

「遠堂の気持ちが大事なんだけどさ。あいつ、意外に頑固だから困ってる。自分の気持ちを表に出すのが、苦手なんだよ」

つまり、遠堂さんが詩理さんのことを好きかどうかってこと?
ううん、天清さんの口ぶりだと遠堂さんは詩理さんが好き?

「ちょっといってきます!」

「え?月子?」
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