乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
「近場に温泉とかは?」

「それなら……」

「よし!じゃあ、予約するよ!?」

「もうですか!?」

「今、予約しないと月子の気持ちが変わるかもしれない」

そうかも。
それを否定できない自分がいた。
あまりにインドア生活が長すぎて。
私が旅行といえば、別荘に行って一人で過ごすのが旅行だった。
読書をしたり、ゲームをしたりと家にいる時と大差ない生活。
旅行って何をするんだろう?と思う私はかなりの旅行初心者だ。

「予約完了!!で、話なんだけど」

「はい」

「新崎で何か嫌なことをされなかった?」

すっと天清さんは目を細めて声を低くした。

「大丈夫です。なにもされてないです」

「そっか。それならよかった」

ホッと天清さんは息を吐いた。

詩理(ことり)さん、元気でしたよ。ただ監視の人はいましたけど……」

「そうだろうな。月子、無茶しすぎだよ。あの男は何するかわからない」

「そうなんです!詩理さんが契約書を書かされるところだったんですよ!でもっ!ちゃんと阻止しました!私と詩理さんだけがわかる暗号でっ!」
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