乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
「久しぶりに会った夫婦の会話にしては甘さが足りない」

そう言って天清さんは不意打ちのキスをして、にやりと笑った。
悪戯っ子みたいに。

「悪い人ですね、天清さんは」

「そうかな?俺ほど、我慢している男はそうそういないよ」

我慢?
なんの?
そう思って天清さんの顔を覗き込むと次は深いキスをされた。

「不用意に男の顔を覗くのは危険だよ」

そんな注意を受けながらされたキスは激しく貪るようなキス。
会えなかった分を取り戻すかのように体を抱きしめて、息つくヒマもない。
会いたかったのは私だけじゃない。
天清さんもずっと会いたいと思ってくれていたんだと―――激しさの分だけ、お互いの寂しさを知れた。
そんな気がした。
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