乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
天清さんが部屋を出て行ってから、押し入れの戸を開けないと押し入れの中の惨状がバレてしまう。
こんな勉強をしているなんて知られたら、ドン引きされますよ……さすがに。
私がそんなことを考えているとは思いも寄らない天清さんは無邪気な笑みで私と同じ目線の高さにしゃがんだ。

「新しい遊び?」

「違います!あの、先に行って下さい。準備してから私も行きますから」

「うん?」

不思議そうに天清さんは首をかしげていたけど、その目は納得していない。

「具合悪いとか?それとも俺に隠し事?」

「いえっ!ちがっ……」

突然、寄りかかっていた戸が開けられ、前のめりになっていた私はどさぁっと天清さんと一緒に床に転がった。

「ごめん、月子。大丈夫?」

「ひどいです!突然、開けるなんて」

私が怒っているのに抱き留めた天清さんは満足そうに笑っていた。
こ、これは!
スチルになりそうな体勢!
転んだヒロインを受け止める王子みたいな?
【彼の抱擁】とか【転んだ先には】なんてスチルタイトルがつきそうですね。
まさか自分がそんなっ―――そこまで考えてからハッとした。
押入れが全開になっていることに気付いた。
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