乙女ゲームオタクな私が妹の婚約者と結婚します!
「騒がしかったな。だから、俺が新崎の人間だとわかっている所は嫌だって言ったのに」

はあっとため息を吐いた。

「急でここしかとれなかった。うるさくして、ごめん」

「ぜっ、全然、平気です!すごく素敵な離れですね!」

「そうかな」

「そうです!お菓子、おいしいですよ」

生菓子の中から、丸い甘い桃の実が出てきた。
若い桃の実は緑で微かに桃の香りがし、口に入れると爽やかな味がした。

「こんな素敵な所に泊まれて嬉しいです」

私の言葉に天清さんのご機嫌が治ったのか、いつもの無邪気な笑みを見せた。

「そうだ!一緒に温泉入ろう!月子!」

「は、は、は、入りません!!」

外に部屋付きの露天風呂があり、お湯が石にぱたぱたと落ちて白い湯気をふわりとあがるのが窓から見える。

「じゃあ、二人でイチャイチャしとく?」

「しませんっ!ちょっとそこに正座してくださいっ!」

「うん?」

天清さんは素直に正座した。

「旅行ときたら、まずは観光です。近場の観光スポットを楽しみます。私の調べでは付近に滝があり、マイナスイオンが素晴らしいらしいですよ。天清さん。滝にうたれたらどうですか」
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